印欧語根についての説明

この研究では、英単語学習のために英単語を印欧語根(Indo-European Roots)で分類する。

印欧祖語と印欧語根
印欧祖語(Proto-Indo-European)は、それ自体現実の言語として存在した自然言語ではなく、 19世紀からヨーロッパにおいて急激に発展した比較言語学によって、 印欧諸語(Indo-Europeans)に見られる規則的な音韻変化をたどるなど、 理論的な再構成によって得られた仮想の言語である。 また、その語幹をいくらかのパターンにまとめたのが印欧語根である。 この英単語ハイパー辞書の研究では、アメリカでもっとも広く使われている英語辞書の一つである、 American Heritage Dictionary第3版(以下、AHDという場合はこれを指す)で 596種に整理された印欧語根の分類をもとにしている。
図 印欧諸語の発展JPEG画像:94kB)

印欧語根の有用性
英語におけるアルファベットには表意文字としての役割はほとんど残っておらず、 ただ文字の並びを捉えても、そこから単語の意味の由来を考察するのは難しい。 しかし、英単語の印欧語根情報を利用するハイパー辞書の以下のような特徴は、 従来の単語集や辞書による方法とは一線を画す効率的な単語学習を可能にする。

 同一の印欧語根に由来する英単語をまとめて学習できる。
 同義語の意味上の違いや反義語との対照を、 印欧語根にさかのぼって考察できる。


また学習者の理解を助けるため、英単語のデータに接頭辞と語幹のデータを含めている。 接頭辞や語幹は、重要と判断したものをAHDを参考に分類したものである。 これによって、語根が同じでも別の接頭辞の単語や、 印欧語根にさかのぼれない一部の単語の分類も可能になる。